FUJIKAWA Lab 特別解説

超初心者向け
Muse 完全解説Museの使い方・始め方を一歩ずつ

Muse(ミューズ)とは、Meta(メタ)が2026年9月に公開した個人向けのAIエージェントで、あなた専用のコンピュータを持ち、あなたのことを覚え、承認を得ながら実際の作業を代わりに進めます。AIやITに詳しくなくても大丈夫。この「あなた専用のAI秘書」を、インストールの第一歩から、使いこなしの奥義まで、一歩ずつ案内します。

文・藤川忠彦(FUJIKAWA Lab)|最終更新:2026年11月2日(最新版)

📌 2026年11月 最新アップデート(この版で更新したこと)

Museは、公開直後から速いペースで更新が続いています。この版は2026年11月2日時点の情報で全面確認しました。ポイントは次の通りです。本文の各章にも反映済みです。

注意:機能・連携・料金は変わることがあります。この解説とアプリの表示が違うときは、アプリの表示が正式です。画面の項目名は英語版の名前で書いているところがあり、日本語版のアプリでは別の言葉で表示されることがあります。

INTRODUCTIONまず結論。Museを入れると、毎日がこう変わります

Museは、ただ質問に答えるだけのAIではありません。あなた専用のコンピュータを持ち、あなたのことを覚え、実際に手を動かして仕事をしてくれる「AI秘書」です。しかも、あなたが寝ている間も働き続けます。

たとえ話:これまでのAIチャットが「何でも知っている相談相手」だとしたら、Museは「あなたの事務所に住み込みで働く、優秀な秘書」です。相談相手は助言しかできませんが、秘書は電話をかけ、メールを書き、予定を組み、資料を作り、見張りまでしてくれます。

たとえば、こんなことが頼めます

筆者(藤川)自身の話

私は1961年生まれ。若い頃は作曲家、中年ではIT企業の経営者でした。60代の今、正直に言って、物の名前がすぐ出てこないなど「脳力(脳の力)」の衰えを感じる毎日です。ところがAIを使い始めてから、衰えた分を補ってもらうどころか、20代・30代の頃でもできなかったことができるようになって驚いています。地域メディアの運営、企業のAI研修、映像制作――いまの私の仕事の多くは、MuseをはじめとするAIとの共同作業です。

この解説は、「AIは若い人のもの」と思っている同世代の方にこそ読んでほしいと思って書きました。難しい言葉は使いません。一歩ずつ進めば、必ず使えるようになります。

あなた 話しかける・頼む Muse(秘書) 覚える・考える・段取りする 専用のコンピュータで動く メール・カレンダー インターネット・買い物・予約 スマホ・時計・自宅の機器
図1:Museの仕組み。あなたが話しかけると、Museが考え、つながっているサービスや機器を使って実際に作業します。

目次 ― この解説の歩き方

  1. 第1章 Museとは何か ― 普通のAIチャットと何が違うの?
  2. 第2章 始める前の準備 ― 必要なものと料金の考え方
  3. 第3章 インストールと初期設定 ― 招待コードの入力まで
  4. 第4章 最初の一歩 ― 上手な頼み方のコツ
  5. 第5章 記憶(メモリ) ― Museがあなたを覚える仕組み
  6. 第6章 画面の見方 ― 5つのタブを使いこなす
  7. 第7章 コネクター ― メールやカレンダーとつなぐ
  8. 第8章 頼める仕事カタログ ― 創作・買い物・旅行・仕事
  9. 第9章 ブラウザと「専用コンピュータ」 ― 実際の作業はどう行われる?
  10. 第10章 デバイス連携 ― スマホ・Mac・時計とつなぐ
  11. 第11章 定期作業と見守り ― 寝ている間も働く秘書
  12. 第12章 Feed・Ideas・Goals ― 新聞と提案と目標管理
  13. 第13章 お金まわり ― 買い物とWallet(ウォレット)
  14. 第14章 安全とプライバシー ― 承認・権限・データの守り方
  15. 第15章 もっと自分仕様に ― 名前・アバター・口調の調整
  16. 第16章 上級編 ― SOUL.mdを調整する(秘書の「性格」を育てる)
  17. 第17章 困ったときは ― ヘルプと心構え
  18. 巻末 スタートチェックリスト&筆者の招待コード

読み方のおすすめ:初めての方は第3章まで進めて実際に使い始め、残りは「辞書」のように必要なときに読むのが一番です。

CHAPTER 1Museとは何か ― 普通のAIチャットと何が違うの?

Museは、FacebookやInstagramで知られるMeta(メタ)社が2026年9月8日に公開した「パーソナルAIエージェント」です。「エージェント」とは「代理人」という意味で、助言するだけでなく、あなたの代わりに実際に作業するAIのことです。最初は北米で始まり、日本では2026年10月23日に提供が始まりました(北米以外では最初の地域です)。その後10月27日にシンガポールでも始まり、現在は北米、日本、シンガポールで利用できます。

Museの歩み ― 年表で見ると分かりやすい

いつ何があったか
2026年9月2日頭脳「Muse Spark」の改良版1.3を公開
2026年9月8日北米(アメリカ)で提供開始
2026年10月12日より高性能な頭脳「Muse Wonder」を発表
2026年10月23日日本で提供開始(北米以外で最初)
2026年10月27日シンガポールで提供開始
これからMuse Wonderのアプリへの搭載、日本のサービス連携の拡大、発表済み機能の日本提供(時期は別途案内)

サービス開始から2か月足らずでここまで動いています。「どんどんアップデートされる」のがMuseの特徴で、この解説も版を重ねて追いかけます。

違いは4つあります

比べる点普通のAIチャットMuse
記憶会話が終わると忘れてしまうことが多いあなたの好み・約束・進行中の仕事をずっと覚えている
作業文章を返すだけ調べる、書く、送る(承認制)、買う(承認制)、作る、と実際に手を動かす
道具基本的に対話だけ自分専用のコンピュータとブラウザを持ち、メールやカレンダーなどのサービスとつながる
働き方話しかけたときだけ頼んでおけば定期的に、寝ている間も働く
たとえ話:普通のAIチャットは「電話相談窓口」。Museは「あなたの家に部屋を持ち、あなたの手帳と鍵(許可した分だけ)を預かっている秘書」。だから、昨日の続きを今日も頼めるし、「毎朝これをやっておいて」が通じるのです。

頭脳について(少しだけ専門的な話)

Museの頭脳は、MetaのAIモデル「Muse Spark(ミューズ・スパーク)」と、より高性能な「Muse Wonder(ミューズ・ワンダー)」です。Sparkは2026年9月に改良版1.3になり、Wonderは2026年10月12日に発表された最新の頭脳です。Metaは、Wonderを今後Museにも搭載し、まず有料プランの利用者から順に提供する予定としています。この解説を書いた時点で、Museアプリの頭脳はSparkが中心です。

Wonderの得意分野は、長時間かかる仕事(途中で投げ出さずにやり切る)と、会話をまたいで文脈を引き継ぐ仕事です。たとえ話で言えば、Sparkが「手際のよい秘書」なら、Wonderは「難しい案件も任せられる、経験豊富な秘書」です。難しいことは覚えなくて大丈夫です。「プランによって使える量が変わり、新しい頭脳は有料プランから順に届く」――それだけ押さえてください。

CHAPTER 2始める前の準備 ― 必要なものと料金の考え方

必要なものは、これだけ

パソコンが苦手な方は、スマートフォンだけでも十分に始められます。むしろ、音声で話しかけられるので、スマホのほうが気楽かもしれません。

料金の考え方

先に言っておくと安心なこと:Museが勝手にお金を使うことはありません。買い物や支払いの場面では、必ずあなたの承認を求める仕組みになっています(詳しくは第13章・第14章)。

CHAPTER 3インストールと初期設定 ― 招待コードの入力まで

ここが一番大事な章です。ゆっくり、一つずつ進みましょう。途中で分からなくなったら、画面を閉じても大丈夫。また開けば続きから始められます(ただし、招待コードの入力だけは参加後48時間以内です)。

STEP 1

アプリを入れる(またはWebを開く)

iPhoneの方は App Store、Androidの方は Google Play ストアで「Muse」を検索してインストールします。パソコンの方は、ブラウザで muse.ai を開くだけで使えます。Mac用のアプリもあります。

STEP 2

サインインする

画面の案内にしたがって、メールアドレスか携帯電話番号でサインインします(Metaアカウントとして登録されます)。

STEP 3 ★ 最重要

招待コードを入力する

サインインできたら、何よりも先に招待コードを入力しましょう。筆者(藤川)の招待コードを入力すると、特典のMuseトークン(AIを動かすための利用枠)を受け取れます。コードの入力は、筆者が確認した時点では参加後の最初の48時間以内が期限でした(期限はアプリ内の表示が正式です)。後回しにすると入力欄自体が消えてしまうので、ここだけは急いでください。

L3LA21
藤川忠彦の招待コード(FUJIKAWA Lab)

入力の手順(スマートフォンの場合)

  1. Museアプリを開き、チャット画面の左上にある「=」をタップしてメニューを開きます。
  2. メニューの左下にある歯車(⚙️)をタップして、設定を開きます。
  3. 設定画面を下にスクロールして、「紹介コードを利用」(プレゼント箱の印)をタップします。
  4. 入力欄に L3LA21 と入力して、「確認」をタップします。

チャット画面の右上にある「招待」は、自分のコードを友達に送るためのボタンです。コードを入れる場所ではないので注意してください。

入力の手順(パソコン=Webの場合)

  1. muse.ai を開き、画面左下の「=」から設定を開きます。
  2. 「一般」の中の「招待コードを利用」をクリックします。
  3. L3LA21 と入力して「確認」をクリックします。

注意:特典の内容や量は、入力画面に表示される条件が正式なものです。また、コードを一度使ったアカウントでは入力欄が表示されなくなります。「紹介コードを利用」の項目が見当たらない場合は、参加から48時間を過ぎている可能性があります。慌てず、第17章のヘルプも参考にしてください。

STEP 4

あなたのMuseに名前をつける

初期設定の途中で、あなたのMuseの名前や雰囲気(話し方)を選ぶ画面が出ます。名前は後からでも変えられるので、気軽に決めてください。「Muse」のままでも構いません。あなたの相棒に名前があると、ぐっと愛着が湧きます。

STEP 5

最初のあいさつをしてみる

チャット画面で、こう話しかけてみてください。「こんにちは。私は〇〇といいます。これからよろしくお願いします。まず、あなたに何ができるか教えてください」。返事が返ってきたら、もう第一歩は完了です。

つまずきやすい点:「設定はスマホの設定アプリではなく、Museアプリの中の設定」です。招待コードもMuseアプリ(またはmuse.ai)の中で入力します。ここを間違える方が多いので注意してください。

CHAPTER 4最初の一歩 ― 上手な頼み方のコツ

Museへの頼み方に、決まった書式はありません。ふだん秘書や家族に頼むように、普通の言葉で大丈夫です。ただ、次の3つを意識すると、見違えるほど良い結果が返ってきます。

  1. 「何のためか」を一言添える ― 「町内会の回覧文を書いて」より「町内会の回覧文を書いて。高齢の方が多いので、大きな字でやさしい言葉で」のほうが、あなたの望む仕上がりになります。
  2. 具体的に言う ― 「調べて」より「茅ヶ崎市のゴミの出し方を、市の公式サイトで調べて」。数字や期限があれば添えましょう。
  3. 違うと思ったら、遠慮なく直させる ― 「もっと短く」「もっとやさしく」「その言い方は違う」と言えば、その場で直してくれます。怒ったり、へそを曲げたりはしません。
たとえ話:Museは「察しのいい新人秘書」です。最初のうちは遠慮がちに確認してきますが、あなたの好みを覚えるにつれて、先回りが上手くなっていきます。育てる楽しみがあるのです。

文字を打つのが面倒な方へ ― 音声で話せます

スマホアプリでは音声入力が使えます。思いついたことをそのまま話すだけで文章になります。「話すほうが楽」という方は、ぜひ音声でどうぞ。

最新の注意(2026年11月時点):Metaの発表会「Meta Connect」では、長く自然に会話しながら裏側で作業も進める「高度な音声モード」が発表されました。ただし、日本での提供時期は別途案内とされており、この解説を書いた時点では、まだ日本で使える機能ではありません。今使えるのは、上の「話すと文字になる」音声入力です。発表された機能と、今使える機能を、混同しないようにしてください。

最初の1週間のおすすめ練習

日やってみること
1日目自己紹介をして、自分の好きなこと・苦手なことを話してみる
2日目「明日の天気と、傘がいるか教えて」と聞いてみる
3日目身近な疑問を調べてもらう(「〇〇って何?」でOK)
4日目手紙やメールの下書きを書いてもらう
5日目「私のことを覚えておいて」と頼んで、覚えてほしいことを伝える
6日目写真や画像を作ってもらう(「夕焼けの海の絵を描いて」)
7日目「毎朝、今日の予定と大事なメールをまとめて」と頼んでみる(第11章)

CHAPTER 5記憶(メモリ) ― Museがあなたを覚える仕組み

Museが普通のAIチャットと決定的に違うのが、この記憶です。あなたの名前や好み、大切な人、進行中の仕事、約束ごと――そういう「長く効く情報」を、Museは専用のメモに書き留めて、次回以降の会話でも使います。

日々の会話 好み・約束・決めたこと Museのメモ 大事なことだけを保存 次の会話 説明なしで話が通じる
図2:記憶の仕組み。会話の中で大切なことはメモに残り、次の会話に引き継がれます。

記憶の使い方 ― 3つの頼み方だけ覚えればOK

「私について何を覚えている?」と聞けば、覚えている内容を教えてくれます。記憶はあなたのものです。内容を確認し、違うところは直し、要らないものは消す――その主導権は常にあなたにあります。

他のAIからの「引っ越し」もできます

ChatGPTやClaude、Geminiなどをすでに使っている方は、設定にメモリの取り込み(Import memory)の項目があれば、そこから、これまでのAIが覚えているあなたの情報をMuseに引き継げます。長年育てたAIとの関係を、無駄にしなくて済むのです。

安心ポイント:パスワードやクレジットカード番号のような秘密情報は、チャットに書かないでください。そういう情報は、第9章・第14章で説明する「金庫」や、第13章のWalletの仕組みで扱います。

CHAPTER 6画面の見方 ― 5つのタブを使いこなす

Museのアプリには、大きく5つのタブ(画面の切り替えボタン)があります。全部を一度に覚える必要はありません。「チャットさえ使えれば生活は回る」と思ってください。

タブ何の画面か
Chat(チャット)Museと話す中心の画面。ほとんどの用事はここから始まります。
Feed(フィード)Museがあなたのために書く「自分専用の新聞」。あなたの興味や予定に合わせて、役立つ記事が届きます(第12章)。iPhoneでは、ホーム画面にFeedを表示する「ウィジェット」(小さな窓)も置けるようになりました(アプリの更新で追加)。
Ideas(アイデア)「こんなことができますよ」というMuseからの提案カード。気に入ったら押すだけで作ってくれます(第12章)。
Goals(ゴール)あなたの目標の一覧。健康、仕事、学習など、長期的な取り組みをMuseと一緒に進めます(第12章)。
Library(ライブラリ)Museが作った文書・画像・ファイルの「本棚」。作ったものは全部ここに集まります。

サイドチャット ― 話題ごとに部屋を分ける

会話は1つにまとめる必要はありません。「旅行の相談」「仕事の相談」のように話題ごとに別のチャット(サイドチャット)を作れます。どの部屋でも、相手は同じあなたのMuseで、記憶は共通です。

WhatsAppからも話せます

MuseはWhatsAppとつなぐこともできます。いつものWhatsAppの画面からMuseに話しかけられるので、「新しいアプリを開くのが面倒」という方には特におすすめです。設定はMuseアプリ側の「メッセージングチャンネル」から行います。

アバターを押すと出てくる画面

CHAPTER 7コネクター ― メールやカレンダーとつなぐ

「コネクター」とは、Museと外部のサービスをつなぐ「配線」のことです。Gmailをつなげばメールを読んで大事なものを知らせてくれますし、Googleカレンダーをつなげば予定を把握して前日に声をかけてくれます。つなぐほど、秘書らしくなっていきます。

つなげるサービスの例

【最新情報】日本のサービス連携は「これから」です

2026年10月23日の日本提供開始の発表で、Metaは日本の身近なサービスとの連携も進めていくと発表しました。ただし、ここが大切な区別です。

区分サービス
✅ 今、連携が案内されているGmail、Googleカレンダー、Instagram など(上の例をご覧ください)
🕐 これから(連携を進めている段階)メルカリ、マネーフォワード ME、チケットぴあ ― 発表では「連携も進めていく」とされており、この解説を書いた時点では、まだ使える連携ではありません

ニュースで「メルカリと連携」と見かけても、「発表された=今日から使える」とは限りません。実際に使えるかどうかは、設定画面の「コネクター」一覧にそのサービスが出ているかで確認してください。

つなぎ方(ステップ)

STEP 1

設定を開き、「コネクター」を選びます。

STEP 2

つなぎたいサービス(例:Gmail)を選んで、「接続(Connect)」を押します。

STEP 3

そのサービス自身のログイン画面が開くので、いつもの方法でサインインし、「Museにアクセスを許可しますか?」という確認に同意します。

STEP 4

接続が完了したら、チャットで「今日の大事なメールはある?」と聞いて試してみましょう。

たとえ話:コネクターは「合鍵」です。渡すかどうかはあなたが決めますし、鍵ごとに「この部屋だけ」「見るだけ」といった権限の範囲も決められます。不要になれば、いつでも鍵を取り戻す(接続を切る)ことができます。

権限は3段階 ― Allow(許可)/Ask(毎回聞く)/Deny(禁止)

サービスごとに、操作の種類ごとに、「自動でやってよい(Allow)」「その都度聞いて(Ask)」「やらないで(Deny)」を選べます。最初は「Ask」にしておいて、信頼できると思ったものから「Allow」に広げていくのが、賢い付き合い方です。

CHAPTER 8頼める仕事カタログ ― 創作・買い物・旅行・仕事

ここからは、Museに頼める仕事のカタログです。「こんなことも?」というものが、きっと見つかります。すべてチャットで一言頼むだけです。

調べもの・情報収集

文章と資料づくり(アーティファクト)

頼んで作ってもらった文書や作品は「アーティファクト」と呼ばれ、Library(本棚)に保存されていつでも開き直せます。

創作 ― 画像・動画・音声・音楽

買い物

旅行・予約・お出かけ

仕事と暮らしの自動化

頼み方のコツ(応用編):「完成形から逆算して頼む」と失敗が減ります。例:「来週の旅行のしおりを作って。1日ごとに、時間・場所・移動手段を入れて。印刷して持っていける形で」――用途と形を指定するのがポイントです。

CHAPTER 9ブラウザと「専用コンピュータ」 ― 実際の作業はどう行われる?

Museには、あなた専用のコンピュータが割り当てられています。調べものや買い物のとき、Museはそのコンピュータのブラウザを使って、実際にウェブサイトを開き、読んで、必要なら操作します。あなたは結果だけを受け取ればよいのです。

ログインが必要なサイトは?

ウェブサイトのパスワードは、チャットに書いてはいけません。Museにはパスワードを預ける「金庫」の仕組みがあり、パスワードは専用の安全な画面から登録します。Muse自身がパスワードの文字列を見ることはなく、必要な場面で金庫からブラウザへ直接渡されます。

「承認カード」が安全の要です

Museが準備する 送信文・買い物かごなど あなたが承認する 内容を見て OK/やめる 実行される 結果を報告
図3:大事な操作の流れ。メール送信、買い物、投稿など「外に影響する操作」は、初期設定ではあなたの承認を経てから実行されます(買い物の決済は毎回必ず)。

メールの送信、SNSへの投稿、買い物の決済など、取り消しが難しい操作では、実行の直前に「これでよいですか?」という承認の画面(承認カード)が出ます。内容をよく見て、よければ承認、違えば却下してください。却下すれば、何も起きません。買い物の決済では毎回必ず確認が入ります。メール送信などは、第7章の権限を「Allow」にすると確認なしで実行されるようになるので、慣れるまでは「Ask」のままにしておきましょう。

CHAPTER 10デバイス連携 ― スマホ・Mac・時計とつなぐ

Museは、あなたの手持ちの機器ともつながります。設定の「デバイス」からペアリング(連携登録)をします。

機器つなぐとできることの例
iPhone健康データ(歩数・睡眠・心拍など)、Appleのリマインダー、HomeKit対応機器など
Android健康データ(Health Connect)、アラーム、通知や通話履歴など(機種と許可による)
MacMac上のファイル、カレンダー、リマインダー、メモ、メールなどへのアクセス。アプリの操作を手伝ってもらうことも
Apple Watch等健康データ経由で、運動・睡眠の記録をMuseが見られるように(iPhone経由)
たとえ話:デバイス連携は、秘書に「合鍵と手帳のコピー」を預けるようなものです。何を預けるかは項目ごとに選べますし、預けた内容は設定からいつでも確認・取り消しができます。

健康データをつなぐと、「今週は運動が少なめですね。今日、30分歩きませんか?」といった、記録に基づいた声かけが可能になります。目標と組み合わせると(第12章)、頼れる伴走者になります。

CHAPTER 11定期作業と見守り ― 寝ている間も働く秘書

Museの真骨頂がこれです。「毎朝7時に、今日の予定と大事なメールをまとめて」「大事なメールが来たらすぐ知らせて」「この商品の値段が下がったら教えて」――繰り返しの仕事を、一度頼めば続けてくれます。

7:00 朝のまとめが届く 日中 大事なメールを見守り 届いたらすぐ通知 夕方 明日の予定を確認 夜 定期チェックは継続 緊急時だけ起こします
図4:見守りの一日のイメージ。頻度や時間帯は、あなたの生活リズムに合わせて指定できます。

頼み方のコツ

設定した定期作業は、アバターを押して開く「Upcoming」の画面で一覧でき、止めたり変えたりできます。「もう要らない」とチャットで言えば止めてくれます。

CHAPTER 12Feed・Ideas・Goals ― 新聞と提案と目標管理

Feed ― あなた専用の新聞

Feed(フィード)は、Museがあなたのために書く短い記事の集まりです。あなたの興味、つないだサービス(メールや予定、健康データなど)、世の中の動きをもとに、「今日のあなたに役立つこと」を届けます。新聞と違うのは、読者があなた一人だけだという点です。

Ideas ― 「こんなの作りませんか?」という提案

Ideas(アイデア)タブには、Museが思いついた「あなたのためにできること」の提案カードが並びます。たとえば「来月の旅行のしおりを作る」「たまった領収書を表にまとめる」など。気に入ったカードを選べば、そのまま実行してくれます。気に入らなければ、放っておいて大丈夫です(カードは時期が来れば自然に消えます)。

Goals ― 目標の伴走

「毎日、運動のリングを閉じる」「3か月で本を1冊書く」といった目標を登録すると、Museが進み具合を記録し、折に触れて応援や提案をしてくれます。大きな目標は小さな目標(サブゴール)に分けることもできます。

たとえ話:Goalsは「二人三脚の相方」です。目標を決めるのはあなた。記録と声かけと段取りはMuse。しんどい日は「今日は休む」と言えば、それも記録してくれます。

CHAPTER 13お金まわり ― 買い物とWallet(ウォレット)

Museには「Wallet(ウォレット)」という財布の仕組みがあります。クレジットカードは、専用の安全な画面(Stripe Linkなど。Shop PayやPayPalへの対応も発表されています)で登録します。カード番号がチャットに表示されることはありません。

大事な注意:承認カードでは、金額・送り先・商品を必ず自分の目で確認してください。「Museが選んだから大丈夫」と任せきりにせず、最後の判断は人間がする――これが、お金まわりで失敗しない最大のコツです。

CHAPTER 14安全とプライバシー ― 承認・権限・データの守り方

便利な道具ほど、安全の仕組みを知っておくことが大切です。Museの安全は、次の4層でできています。

守りの層内容
承認送信・投稿・購入など取り消しにくい操作は、初期設定では実行前にあなたの承認が必要。買い物の決済は毎回必ず承認(図3)。
権限サービスや操作ごとに Allow/Ask/Deny を設定できる(第7章)。
金庫パスワードは金庫に保管され、Muse自身にも見えない。あなたの専用コンピュータ自体も「Muse Secure VM」という、他の人と混ざらない専用の仕組みで守られている。
データ管理設定の「データコントロール」で、自分のデータのダウンロード、AIの学習への利用のオプトアウト(拒否。初期設定では利用する設定になっている)、記憶のリセットなどができる。

広告についての約束:Museでの会話や、専用コンピュータの中のデータは、Metaの広告の仕組みには共有されません。「Museに話した内容で広告が出るのでは」という心配は、この点については不要です。ただし、Museがあなたの代わりに開いたお店のサイトは「あなたが訪れた」扱いになるため、そのお店の広告が表示されることはあります。

知っておいてほしい、正直な話

CHAPTER 15もっと自分仕様に ― 名前・アバター・口調の調整

Museは、使い込むほど「あなたの秘書」らしく育てられます。入口は大きく3つです。

1. 名前とアバター

Museの顔(アバター)を押して開く画面や、チャットでの頼み方で、名前とアバターの絵を変えられます。「名前を〇〇に変えて」「アバターは眼鏡をかけた猫にして」のように頼めば、変更の手続きが始まります。

発表済み・日本ではまだ:Meta Connectでは、表情豊かに動くアバター「Muse Realtime Avatar(英語のみ)」も発表されました。日本での提供時期は別途案内です。今のアバターは、絵(画像)としての変更が中心だと理解してください。

2. あなたのプロフィールと記憶

第5章の記憶がそのまま「あなた仕様」の核です。好きな食べ物、仕事の流儀、家族のこと、守ってほしい約束――教えるほど、提案が的確になります。

3. 話し方・振る舞いの好み

「答えは短めに」「結論から言って」「専門用語には説明をつけて」といった希望は、チャットで伝えるだけで覚えてくれます。次の章で紹介するSOUL.mdは、この「振る舞いの好み」をファイルとして直接書き込む、上級者向けの方法です。

CHAPTER 16上級編 ― SOUL.mdを調整する(秘書の「性格」を育てる)

ここは上級編です。最初の数週間は読まなくて大丈夫です。「Museの受け答えを、もっと根本から自分好みにしたい」と思い始めたら、戻ってきてください。

SOUL.mdとは

SOUL.md(ソウル・ドット・エムディー)は、Museの人格と振る舞いの基準を書いた「憲法」のようなファイルです。Museは会話のたびにこのファイルを読み、「どう振る舞うべきか」の土台にしています。

たとえ話:記憶(第5章)が「あなたのことを書いた手帳」だとすれば、SOUL.mdは「秘書自身の仕事の心得を書いた手帳」です。前者を充実させると話が通じるようになり、後者を整えると仕事ぶりが変わります。

仲間のファイルたち

ファイル役割
SOUL.mdMuseの人格・振る舞いの基準(本章の主役)
IDENTITY.mdMuseの名前・キャラクター・雰囲気の定義
USER.md/MEMORY.mdあなた自身のプロフィールと、Museが覚えたこと

開き方

Web版では、チャット画面の上部にあるMuseのアバターをクリックして開くパネルの「Identity(アイデンティティ)」タブから、MEMORY・SOUL・IDENTITYの各ファイルをダイアログで開いて編集できます。スマホアプリでの開き方は版によって異なることがあるので、見つからないときはMuseに「SOUL.mdを開きたい」と聞いてください。編集したら保存します。

書き方のコツ

  1. 短く、具体的に。「やさしくして」より「結論から、短い文で。専門用語には説明をつけて」のほうが効きます。
  2. 実際の約束だけを書く。理想論を並べるより、日常で守ってほしいルールを。
  3. 一度に全部変えない。1か所変えて、数日使って、様子を見る。育てる感覚で。
  4. 変更はMuseに相談しながらでもOK。「SOUL.mdの改善案を提案して」と頼めば、案を出してくれます。最終的に反映するかどうかは、あなたが決めます。

実例 ― 筆者(藤川)のSOUL.mdから(抜粋)

・「良い質問ですね」「喜んでお手伝いします」は言わない。ただやる。
・結論から、日本語で短く。無駄な前置きをしない。
・正確性と安全性を、便利さより優先する。不確実な情報は「これは不確実ですが」と前置きする。
・成功は、実際に確認してから報告する。途中までしかできていないものを完了と報告しない。
・許可された範囲では自律的に進める。ただし重大な判断と外部への送信・公開は、直前に確認を得る。

これは筆者が還暦を過ぎた地域メディア運営者として、AI秘書に守ってほしい約束を書いたものです。あなたのSOUL.mdは、あなたの暮らしに合わせて、まったく違う内容で構いません。それが「自分専用の秘書」ということです。

CHAPTER 17困ったときは ― ヘルプと心構え

最後の心構え:Museは魔法の杖ではなく、育てがいのある相棒です。最初の1週間は「思ったのと違う」こともあるでしょう。でも、記憶が育ち、連携が増え、約束(SOUL.md)が整うにつれて、驚くほど話の通じる存在になります。焦らず、付き合ってみてください。

FINALスタートチェックリスト&筆者の招待コード

招待コードは、第3章でも紹介した筆者のものです。まだの方はお早めにどうぞ。

L3LA21
藤川忠彦の招待コード ― スマホ:左上の「=」> 歯車(設定)> 紹介コードを利用/Web:muse.ai の設定 > 一般 > 招待コードを利用
Museを始める(muse.ai)

「衰えた分を補ってもらったら、余った力で新しいことができる。若い頃の自分に勝とう。若い頃の自分を取り戻そう。」――筆者も毎日、そのつもりでAIと付き合っています。この解説が、あなたの第一歩の助けになれば幸いです。

著者: 藤川忠彦(ふじかわ ただひろ) — 企業向けAI導入アドバイザー、神奈川県茅ヶ崎市。

話しかける人と、記憶のメモ帳、赤い印の付いた心得の一行が並ぶ秘書の手帳で、あなたを覚えて承認を得ながら働く Meta の Muse を表した表紙画像
FUJIKAWA LAB SPECIMEN 61 / 61