リサーチ(調査報告) 2026年10月26日

ChatGPTで広がる仕事の世界OpenAI Signals の調査データ(日本語参考訳)

OpenAI Signals(オープンエーアイ・シグナルズ)とは、人々がAIをどう使っているかの証拠を共有するためにOpenAIが続けている取り組みで、OpenAIの経済調査チームによるデータ・調査・分析・事例をまとめて公開しています。このページは、OpenAIの経済調査チームが2026年10月26日に公開した記事を日本語に訳し、図を作り直した参考訳です。

OpenAIの経済調査チーム(Economic Research)が、AIと労働の関係をより深く探るための研究用データを公開しました。

原文:ChatGPT’s expanding world of work(OpenAI、2026年10月26日公開)。本ページはOpenAIの公式翻訳ではなく、日本語話者向けの参考訳です。文中の「私たち」はOpenAIを指します。緑色の括弧書きと「訳注」は訳者の補足で、原文にはありません。図は、原文のインタラクティブな図表に表示される数値をもとに訳者が作り直したものです。正確な内容は原文をご確認ください。

データを閲覧・ダウンロードする

本日、私たちは約100カ国・165種類の業務内容を対象にした「OpenAI Signals(OpenAIが公開している、AIの実際の使われ方をまとめた統計データ群)」のデータを公開します。これにより、一般のユーザーが仕事でどのようにChatGPTを使っているかが明らかになります。

このデータは、教材の準備やマーケティング用コンテンツの作成から、プログラミング、ビジネスデータの分析まで、人々がChatGPTに持ち込む仕事について新しい情報を示し、経済におけるAIの役割を研究するための新しい手がかりとなります。

研究者はこのデータを使うことで、国ごとのChatGPTの使われ方の違いを比べたり、時間の経過による変化を追いかけたり、他の経済指標(GDPや雇用統計など、経済の状態を表す数字)と照らし合わせたりすることができます。今回の公開データでは、ChatGPTの利用状況を165種類の「IWA:中間業務活動(Intermediate Work Activities=職種を超えて共通する「資料を作る」「データを分析する」といった中くらいの粒度の作業カテゴリー)」に結びつけています。データは2025年第1四半期(1〜3月)から2026年第3四半期(7〜9月)までの期間を、四半期(3カ月)ごとにまとめています。

人々がどのようにAIを仕事に使っているか、より深く理解する

今回の新しいデータは、職業ごとの作業を、職業を超えて共通するより広い作業活動のカテゴリーにまとめる標準的な枠組み「O*NET(オーネット)(米国労働省の支援で整備されている、約1,000の職業について作業内容や必要な能力を標準的な枠組みで整理した職業データベース)」の枠組みをベースにしています。共通の基準(モノサシ)を使うことで、研究者はChatGPTの利用データを、他の種類の職業データや雇用データと比較しやすくなります。

原文のインタラクティブな図表では、特定の国でどのような業務にChatGPTが使われているか、大きな分類から細かい作業へとたどりながら、その内訳と時間経過による変化を見ることができます。データからは、国によって仕事でのChatGPTの使い方に大きな違いがあることがわかります。下の図1は、そのうちアメリカの2025年第1四半期の表示を再構成したものです。

図1:ChatGPTで行われている業務内容の内訳
仕事関連のメッセージ全体に占める割合(%)。上位10項目のみを表示し、四角の大きさは数値に比例していません
国:アメリカ(原文の図では94カ国から選べます) 時期:2025年第1四半期(Q1 2025)
意思決定と問題解決
(Making decisions and solving problems) 22.8%
創造的に考える・アイデア出し
(Thinking creatively) 11.8%
コンピュータの操作・プログラミング
(Interacting with computers) 11.7%
情報の収集・調べもの
(Getting information) 11.6%
情報の文書化・記録
(Documenting/recording information) 10.6%
他者への相談対応・アドバイス
(Provide consultation and advice) 5.5%
他者のための情報の解釈・わかりやすい説明
(Interpreting the meaning of information) 5.1%
教育・トレーニング・指導
(Training and teaching others) 4.3%
データや情報の分析
(Analyzing data or information) 4.2%
モノ・サービス・人の品質評価
(Judging the qualities) 3.8%
大分類カテゴリー: 計画と意思決定 業務の成果物作成 情報のインプット・情報の処理 育成とアドバイス・伝達とやり取り ※色は原文の8つの大分類を4色にまとめたものです(緑と紫は2分類ずつ)。項目名はO*NETの作業活動(Work Activity)の名称で、165種類のIWAより一段大きな区分です

ChatGPTの利用データを「IWA(中間業務活動)」に結びつけて分析した結果、仕事での利用が「最もよく使われる定番の作業」に集中する度合いが下がってきたことがわかりました。つまり、各国は時間とともに特定の作業に特化する傾向を示し、特化する作業の種類は国によって異なっていました。この違いは、各国で行われている仕事の種類の違いや、AIツールへのアクセスの差を反映している可能性があります。こうした違いの理由を探ることは、研究者がこの新しいデータで取り組める数多くの研究の一例です。

図2:業務の多様化と国ごとの特色(2025年Q1〜2026年Q3)
全四半期で観測された74カ国の平均推移。各グラフの見出し下の括弧書きは、訳者による読み方の目安です

① 各国内での集中度 (Within countries)

上位10個の定番の作業が占める割合(下がるほど多様な仕事に使われている)

58% 56% 54% 52% 50% 25 Q1 Q2 Q3 Q4 26 Q1 Q2 Q3 56.0% 51.1%

② 国ごとの使われ方の違い (Between countries)

平均総変動距離(数値が高いほど、国によって違う仕事に使われている)

25% 24% 23% 22% 21% 20% 25 Q1 Q2 Q3 Q4 26 Q1 Q2 Q3 22.2% 23.0%

※グラフ右の「平均総変動距離(Total Variation Distance=2つの内訳(割合の分布)がどれだけ食い違うかを0〜100%で表す指標。各項目の割合の差の合計の半分で、数字が大きいほど国ごとの違いが大きいことを意味します)」は21.8〜23.0%の範囲で上下しながら推移し、2026年Q3は23.0%でした(訳注:右のグラフの指標と数値について、原文の本文に説明はありません)。原文によると、全四半期で観測された74カ国では、上位10個の作業が各国の分類された仕事関連メッセージに占める割合の平均が、2025年Q1の56.0%から2026年Q3には51.1%へ下がりました。

研究者はこのデータをどう活用できるか

ChatGPTの利用データを「IWA(中間業務活動)」と結びつけることで、研究者は「ChatGPT上でやり取りされる仕事」と「実際のアメリカ経済で行われている仕事」を比べることができます。

以下の比較グラフを見ると、両者の内訳が大きく異なっていることがわかります。その主な理由は、対応づけできたアメリカの職業について、雇用者数で重み付けした作業の構成(働く人が多い職種の作業ほど全体の割合に大きく反映されるように計算したもの)の約43%が、個別に集計されたカテゴリーの外にある「その他のIWA(Other IWA)」に入るためです。

「その他のIWA」には、資材の運搬、車両の運転、健康・医療記録の管理といった活動が含まれます。これらのカテゴリーは、当初のアメリカのChatGPTサンプルの中で安定して出現する基準(しきい値)に満たなかったため、個別には集計されていません。

図3:ChatGPTでの業務割合 vs アメリカ経済全体の実際の業務割合
2025年Q1のアメリカのChatGPTデータと、2025年1月1日時点を基準としたアメリカ経済全体の作業構成(雇用者数で重み付け)の比較。両側とも8つの大分類をすべて表示

💬 ChatGPTで行われる仕事(アメリカ)

計画と意思決定 (Planning and decisions)35.8%
業務の成果物作成 (Work output)22.3%
情報のインプット・収集 (Information input)13.7%
育成とアドバイス (Developing and advising)10.0%
情報の処理・分析 (Information processing)9.0%
伝達とやり取り (Communicating and interacting)7.0%
その他の業務 (Other IWA)1.3%
管理業務 (Administration)0.7%

🏢 アメリカ経済全体の実際の仕事

その他の業務 (Other IWA)43.1%
業務の成果物作成 (Work output)13.9%
伝達とやり取り (Communicating and interacting)12.8%
計画と意思決定 (Planning and decisions)9.3%
情報の処理・分析 (Information processing)5.8%
育成とアドバイス (Developing and advising)5.8%
情報のインプット・収集 (Information input)5.0%
管理業務 (Administration)4.2%

※訳注:「計画と意思決定」は、アメリカ経済全体では9.3%ですが、ChatGPT上では35.8%です。

データの詳細とプライバシー保護について

今回の公開は、人々がどのようにAIを使っているかについての証拠(エビデンス)を共有するために私たちが続けている取り組み「OpenAI Signals」の一環です。

このデータは個人向けプランのChatGPTにおける仕事関連のメッセージを対象としており、法人向け(エンタープライズ)のメッセージや、プログラミング特化ツールである「Codex(コーデックス)(ソフトウェア開発を支援するOpenAIのコーディングエージェント)」の利用データは含まれていません。研究者の皆さんがこのデータを自由に調べ、他の統計データと組み合わせ、働く人々や企業にとってどんな意味があるのかを探求してくれることを歓迎します。

【プライバシーの保護について】
ユーザーのプライバシーを守るため、研究者は個別の会話を読みません。個人を特定できる情報を取り除いた後に、自動化されたシステムがメッセージを分類します。公表するのは集計した統計で、人数が少ないグループの結果は含めず、「統計的ノイズ(集計値に意図的に小さな乱数を加え、特定の個人のメッセージが結果から読み取れないようにする手法)」を加えることで、個々のメッセージを保護しています。

引用(Citation)

論文やレポートでこのデータを引用する際は、以下のBibTeX(ビブテック=学術論文などで参考文献の情報を管理するための標準フォーマット)をご利用ください。

@online{openaiecon2026signalsdata,
  author = {Aaron Chatterji and Thomas Cunningham and David J. Deming and Zoe Hitzig and Drew Johnston and Alex Martin Richmond and Christopher Ong and Carl Yan Shan and Kevin Wadman},
  title = {{OpenAI} Signals v3.0},
  year = {2026},
  organization = {OpenAI},
  url = {https://openai.com/signals/data-download/},
  urldate = {2026-10-26},
  note = {Data download and methodology},
}

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著者: 藤川忠彦(ふじかわ ただひろ) — 企業向けAI導入アドバイザー、神奈川県茅ヶ崎市。

大きさの違う四角が並ぶ業務の内訳図と、下がっていく赤い折れ線で、ChatGPT が仕事のどんな作業に使われ、定番の作業への集中が薄れていく様子を示した OpenAI Signals の調査を表した表紙画像
FUJIKAWA LAB SPECIMEN 60 / 61