第7章

参考資料・ブランドを与える

言葉だけで説明するより、「お手本」を1枚渡すほうが、仕上がりは何倍も良くなります。この章では、Claude Design にファイルや画像を渡す方法と、色・文字の「決まりごと」を覚えさせて、いつも同じ雰囲気で作ってもらう方法を学びます。

この章でできるようになること

まず結論:「参考資料を渡す」だけで仕上がりが激変します

ここまでの章では、言葉で指示を書く方法を練習してきました。しかし、デザインの「雰囲気」を言葉で伝えるのは、実はいちばん難しい部分です。「落ち着いた感じで」「うちの会社らしく」と書いても、Claude はあなたの頭の中を見られません。

そこで効くのが、参考資料です。実践記事でも「参考資料(画像・PDF)を先に渡すと精度が大きく上がる」と繰り返し指摘されています。好きな Web サイトの画面写真、過去に作ったスライド、会社のロゴ。そうした「お手本」を1つ渡すだけで、Claude は色・文字・余白の取り方を読み取って、それに寄せたデザインを最初から出してくれます。

言葉10行より、お手本1枚

雰囲気の説明に長い文章を書くくらいなら、気に入っているデザインの画像を1枚添えるほうが早くて確実です。「説明が苦手」と感じている人ほど、この方法が向いています。

渡せるファイルの種類と上限

Claude Design に渡せるファイルの種類は、次の表のとおりです。ふだん仕事で使うファイルは、ほぼそのまま渡せると考えて大丈夫です。

種類形式主な使いみち・注意点
画像JPEG / PNG / GIF / WebPお手本のデザイン、ロゴ、画面写真(スクリーンショット)。雰囲気を伝える主役です
PDFPDF既存のパンフレット・資料。色使いやレイアウトの参考に
スライドPPTX(PowerPoint)過去のプレゼン資料を「うちの定番の型」として渡せます
表計算XLSX(Excel)中のデータをグラフや図表にしてもらう用
文書DOCX(Word)文字だけ読まれます。中に貼った画像は読まれない点に注意
テキスト類TXT / CSV / MD原稿・データ・メモをそのまま渡せます
コード置き場GitHub リポジトリ(プログラムの保管場所)プログラムからデザインの決まりごとを取り込む用。第9章(Claude Code との連携)で登場します
上限に注意

1つのファイルは最大 30MB、1つのチャットで渡せるのは最大 20 ファイルまでです。写真をたくさん渡したいときは、本当に参考になる数枚に絞るほうが、Claude も迷わず良い結果を出せます。

Word ファイルの落とし穴

DOCX(Word)は文章だけが読み取られます。文書の中に貼り付けた写真や図は無視されます。画像を参考にしてほしいときは、その画像だけを JPEG や PNG で別に渡してください。

渡し方は3通り

ファイルの渡し方はとても簡単です。次の3つのうち、やりやすいものを使ってください。

  1. ドラッグ&ドロップ
    パソコンのフォルダからファイルをつまんで、チャット欄の上まで運んで指を離します。いちばん手軽な方法です。
  2. ファイル選択
    チャット欄から、ファイルを選ぶ画面を開いて選択します(画面の案内に従ってください)。ドラッグ操作が苦手な場合はこちらで。
  3. URL 貼り付け
    Web ページのアドレス(URL)をチャットに貼ると、そのページの内容を取り込んでくれます。「このサイトを参考に」と伝えたいときに便利です。
claude.ai/design
左:チャット
📎 sample-site.png(添付した画像)
この画像の雰囲気で、お知らせカードを1枚作ってください
右:キャンバス
画像の色・余白の取り方に寄せたカードが生成される

図:画像をドラッグ&ドロップで添付し、「この雰囲気で」と頼んだところ

「この雰囲気で」の頼み方 実例集

ファイルを渡したら、それをどう使ってほしいかを一言添えます。よく使う言い回しを挙げておきます。そのまま真似してください。

コピーして使うプロンプト
添付した画像の雰囲気(色使い・文字の感じ・余白の取り方)を参考にして、
セミナー案内のページを1枚作ってください。
内容はこちらです。
・タイトル:はじめての資産づくり入門
・日時:8月20日(木)14:00〜15:30
・場所:オンライン開催
・参加費:無料

ポイントは、「画像のどこを参考にしてほしいか」(色・文字・余白など)と、「中身の情報」(日時・場所など)を分けて書くことです。見た目はお手本から、中身はあなたの指示から、と役割がはっきりします。

デザインシステム=ブランドの決まりごと集

毎回ファイルを渡すのも良いのですが、「いつも同じ色・同じ文字・同じ雰囲気で作ってほしい」なら、もっと良い方法があります。それがデザインシステムです。

デザインシステムとは、色・文字(フォント)・部品(ボタンや見出しの形)・余白のルールをまとめた「ブランドの決まりごと集」のことです。会社や個人の「らしさ」をレシピ帳のように書き留めたもの、と考えてください。

Claude Design にこれを一度覚えさせると、以後の新しいプロジェクトに自動で適用されます。毎回「色は藍色系で、文字はこのフォントで…」と書かなくても、最初から「いつものうちの雰囲気」で出てくるようになります。

何から取り込めるか

決まりごと集は、ゼロから手書きする必要はありません。手持ちの資料から Claude が自動で読み取ってくれます。取り込み元として使えるのは次のものです。

渡すと、Claude が色・文字づかい・部品・レイアウトの型を自動で抽出します。ただし、特に GitHub リポジトリなど取り込み元が大きい場合、抽出には 12〜22分ほどかかることがあります。始めたら、お茶でも飲みながら気長に待ってください。途中で失敗したわけではありません。

claude.ai/design — デザインシステムの取り込み
渡すもの
📎 会社ロゴ.png
📎 過去のパンフレット.pdf
Claude が抽出するもの
色(メインカラー・サブカラー)
文字(見出し・本文のフォント)
部品(ボタン・カードの形)と余白のルール

図:手持ちの資料から「ブランドの決まりごと集」が自動で作られるイメージ

Published(公開)トグルはチーム向け

デザインシステムの設定画面には Published(公開)という切り替えスイッチがあります。これはオンにするとチーム全体に決まりごと集を共有できる、Team・Enterprise プラン向けの機能です。一人で使っている分には触らなくて大丈夫です。

例題 1:好きなサイトの雰囲気でお知らせカードを作る

ふだん「このサイト、きれいだな」と思っている Web サイトを1つ思い浮かべてください。その画面写真(スクリーンショット)を撮って Claude Design に渡し、その雰囲気でお知らせカードを1枚作ってもらいます。

  1. 画面写真を撮る
    お手本にしたい Web サイトを開き、キーボードの Windows キー + Shift + S を押して、画面の一部を切り取って保存します。
  2. Claude Design に渡す
    保存した画像を、チャット欄にドラッグ&ドロップします。
  3. 指示を書く
    下のプロンプトを貼り付けて送ります。
コピーして使うプロンプト
添付した画面写真の雰囲気(色使い・文字の感じ・余白の取り方)で、
お知らせカードを1枚作ってください。
・見出し:夏季休業のお知らせ
・本文:8月13日(木)から8月16日(日)まで、お休みをいただきます。
・下に「詳しくはこちら」というボタンを1つ

できあがったら、お手本の画像と見比べてください。色の系統や余白のゆったり感が寄っていれば成功です。ずれていたら、第3章(修正の4つの方法)の要領で「もっとお手本の色に近づけて」と追加で頼みましょう。

練習問題

練習問題 1:手持ちの資料の雰囲気で「新しい資料の表紙」を作る

手元にある PDF かスライド(PPTX)を1つ選んで Claude Design に渡し、「この雰囲気で、新しい資料の表紙を1枚」と頼んでみてください。表紙のタイトルは自由です(例:「2026年度 活動報告」)。

ヒントを見る

ファイルはドラッグ&ドロップで渡せます。指示には「色使いとレイアウトを参考に」のように、参考にしてほしい点を書き添えると、狙いどおりになりやすいです。表紙に入れる文字(タイトル・日付・名前)も忘れずに指定しましょう。

模範解答を見る
コピーして使うプロンプト
添付した資料の雰囲気(色使い・文字の感じ・レイアウト)に合わせて、
新しい資料の表紙を1枚作ってください。
・タイトル:2026年度 活動報告
・サブタイトル:上半期のまとめ
・日付:2026年7月
・作成者名:藤川

元の資料と表紙を並べて見比べ、「同じシリーズに見えるか」を確認できれば合格です。

練習問題 2:ロゴの色に合わせた名刺風カードを作る

ロゴ画像(会社のロゴ、または好きなマークの画像)を1枚用意して渡し、「この色に合わせて」名刺風のカードを作ってもらってください。

ヒントを見る

ロゴは JPEG か PNG で渡します。名刺に載せる情報(名前・肩書き・連絡先)を箇条書きで指定しましょう。練習なので、連絡先はダミー(例:example@example.com)で構いません。本物の個人情報は、共有の予定がないか確認してから使ってください。

模範解答を見る
コピーして使うプロンプト
添付したロゴ画像の色に合わせた配色で、名刺風のカードを1枚作ってください。
・ロゴを左上に配置
・名前:藤川 太郎
・肩書き:代表
・メール:example@example.com
・全体はシンプルで、余白を多めに

ロゴの色とカードの配色がなじんでいれば成功です。色がずれていたら「ロゴの青をメインカラーにして」のように、色を名指しで直してもらいましょう。

理解度チェック

次の項目に自信をもって「はい」と言えたら、この章は合格です。

この章の出典