第0章

Claude Design とは何か

Claude Design は、言葉で説明するだけでデザインを作ってくれる新しい道具です。この章では「そもそも何ができるのか」「自分に向いているのか」をつかみます。手を動かすのは第1章からなので、ここでは安心して全体像だけを眺めてください。

この章でできるようになること

言葉で頼むと、デザインが返ってくる

Claude Design をひとことで言うと、「隣の席にデザイナーがいて、口頭でお願いすると作ってくれる」体験です。

たとえば、知り合いのデザイナーにこう頼む場面を想像してください。「カフェの開店チラシを作ってほしい。落ち着いた茶色系で、写真を大きく、営業時間は下のほうに」。デザイナーは話を聞いてたたき台を作り、あなたは「もう少し文字を大きく」と注文を重ねて、だんだん完成に近づけていきます。

Claude Design では、この「デザイナー」の役割を AI の Claude が務めます。あなたが日本語の文章で希望を書くと、Claude がその場でデザインを組み立てて画面に表示します。作るのは人間ではなく、Claude(AI)自身です。だから深夜でも休日でも、思い立った瞬間に頼めます。

claude.ai/design
左:チャット
カフェ開店のお知らせチラシを作って。落ち着いた茶色系で、営業時間は下のほうに。
見出しをもう少し大きくして。
右:キャンバス
頼んだデザインがここに表示され、注文するたびに更新される
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図:Claude Design の基本の姿。左で会話し、右に結果が出る(詳しくは第1章)

大事なポイントは、一回の指示で完成させる道具ではないということです。まず 8 割くらいの出来のものを出してもらい、会話で直しながら仕上げていく。これが Claude Design の正しい使い方です。直し方の具体的なテクニックは第3章(修正の4つの方法)でたっぷり扱います。

何が作れるのか — 全体像

「デザイン」と聞くと絵やロゴを思い浮かべるかもしれませんが、Claude Design の得意分野はもう少し広く、「人に見せるための資料や画面」全般です。主なものを表にまとめます。

作れるもの説明使いどころの例
スライド・プレゼン資料発表用の紙芝居形式の資料社内報告、セミナー登壇
提案書企画や見積もりを説明する書類取引先への企画提案
ピッチデック投資家などに事業を売り込む短い資料資金集め、事業紹介
LP(ランディングページ)商品やサービスを紹介する1枚もののWebページ新商品の告知ページ
アプリ画面の模型(モックアップ)本物そっくりの画面の「見た目見本」開発前のイメージ共有
動く試作品ボタンが押せるなど、実際に触れるお試し版操作感の確認
データの図表化数字の一覧をグラフや図に変換売上報告、アンケート集計
1枚ものの告知デザインチラシ・ポスターの類。上の資料類と同じ要領で頼めますイベント告知、店頭掲示

作ったものは PDF や PowerPoint 形式などに書き出して、普段の仕事の流れにそのまま持ち込めます。書き出しの方法は第8章(書き出しと共有)で説明します。

どんな人・場面に向いているか

Claude Design は「デザインの専門教育を受けていないが、人に見せるものを作る必要がある人」にいちばん向いています。具体的にはこんな場面です。

逆に、ミリ単位の精密な仕上げや本格的な共同デザイン作業が必要なら、Figma(デザイナー向けの専門ツール)のような道具の領分です。Claude Design で大枠を素早く作り、細部の最終調整は Canva(テンプレートが豊富なデザインサービス)などで行う、という組み合わせも現実的です。この使い分けは第10章(制限と上手な付き合い方)で詳しく扱います。

「研究プレビュー」とは何か

Claude Design は、Anthropic(Claude を開発している会社)の Anthropic Labs が、2026年4月17日に「研究プレビュー」として公開しました。

研究プレビューとは、開発途中のものを、完成を待たずに一般公開している状態のことです。新装開店前のお店が「プレオープン」でお客さんを入れて反応を見るのに似ています。使う側にとっては、次の3点を心に留めておくと安心です。

怖がらなくて大丈夫です

「開発途中」といっても、日常の資料作りに使える水準にはすでに達しています。作ったものは手元に書き出して保存できるので、大事な成果物が突然消えて困る、という事態は避けられます。心配なときはこまめに書き出しておきましょう(第8章)。

この教科書の歩き方

この教科書は全11章+付録で、3つのまとまりに分かれています。順番に読むのがおすすめですが、基礎編を終えたあとは、必要な章だけつまみ読みしても大丈夫です。

まとまり学ぶこと
基礎編第0〜4章全体像、画面の見方、はじめての生成、修正のしかた、伝わる指示の書き方
実践編第5〜8章スライド・提案書、LP・Webページ、ブランド資料の与え方、書き出しと共有
応用編第9〜10章Claude Code との連携、制限との上手な付き合い方
付録付録逆引きプロンプト集、トラブル対処、用語集

各章には、実際に手を動かす例題と、力試しの練習問題、最後に理解度チェックがあります。チェックボックスは押すと記録されるので、しおり代わりに使ってください。

例題 0-1:作りたいものを3つ書き出す(準備運動)

この章の例題は、パソコンの前で Claude Design を開く必要はありません。紙とペン(またはメモアプリ)だけで OK です。上の「何が作れるのか」の表を見ながら、あなたが Claude Design で作ってみたいものを3つ書き出してください。

  1. 表をもう一度眺める
    「何が作れるのか」の表の8種類から、ピンとくるものを探します。
  2. 自分の生活・仕事に引き寄せる
    「来月のあの予定で使えるかも」のように、実際の場面と結びつけます。
  3. 3つ書き出す
    例:「教室の生徒募集チラシ」「取引先向けの提案書」「家計の支出グラフ」。

書けたら合格です。このメモは第2章で実際にデザインを作るときの題材になるので、捨てずに取っておいてください。

練習問題 0-1:「誰に見せるか」をセットにする

例題 0-1 で書いた3つに、それぞれ「誰に見せるものか」を書き足してください。デザインは見せる相手が決まると、途端に指示が書きやすくなります。

ヒントを見る

「みんな」ではなく、顔が浮かぶくらい具体的に。「近所の60代の主婦」「取引先の課長」「初めてお店を知る通行人」のように書くのがコツです。

模範解答を見る

書き方の例です。内容はあなた自身のものに置き換えてください。

  • 教室の生徒募集チラシ → 近所に住む、習い事を探している50〜60代の人
  • 新サービスの提案書 → 取引先の、決裁権を持つ部長
  • 家計の支出グラフ → 家族(毎月の状況を共有したい)

このように「作るもの+見せる相手」のセットで考える習慣は、第4章(伝わる指示の書き方)でそのまま活きてきます。

練習問題 0-2:できないことを3つ挙げる

道具と上手に付き合う第一歩は、得意・不得意を知ることです。この章の説明を思い出して、Claude Design が苦手なこと・できないことを3つ挙げてください。

ヒントを見る

「どんな精度の仕上げが苦手か」「どんな環境では使えないか」「どんな専門ツールとはつながらないか」の3方向で考えてみてください。

模範解答を見る

たとえば次のうち3つ挙げられれば正解です(2026年7月時点)。

  • ミリ単位・ピクセル単位の完璧な仕上げは苦手(大枠向き。細部は Canva 等で調整)
  • インターネットにつながっていないと使えない(オフライン利用不可)
  • Figma などデザイナー向け専門ツールへの直接の書き出し・連携がない
  • なめらかな画面切り替えのような、複雑な動きの表現は不得意
  • 研究プレビューのため、保存エラーなどの不具合報告がある

詳しくは第10章(制限と上手な付き合い方)で扱います。

理解度チェック

次の項目に自信をもって「はい」と言えたら、この章は合格です。

この章の出典